コラム

「普通株」って何 ?

2009 年 9 月 16 日 水曜日

 ほんの十数年前までは、株式と言えば「額面株式」と「無額面株式」があるぐらいで、その株式にどんな違いがあるかと言えば、株券に券面額があるかないかの違いで、株式に内在する権利、①配当金をもらう権利(配当受領権)、②株主総会に参加する権利(議決権)、③会社が解散・清算した場合に残った財産をもらう権利(残余財産分配請求権)などには違いはありませんでした。あえて、株式の権利に違いがある株式が存在していたと言えば、それは、「譲渡制限株式」くらいです。しかし、その株式も譲渡の制限があるだけで、上記3つの権利は,欠けることなく持っていました。したがって、「普通株」という名の株式は存在しませんでした。

(1)普通株の存在
 しかし、その後、旧商法時代においても権利の内容を異にする株式、優先株(配当を優先的にもらう権利のある株式)、劣後株(配当より経営権を優先する株式)、議決権制限株、拒否権付株(黄金株、全議案に拒否権)などの発行が容認され、会社法になってからは、さらに多様な権利の内容の異なる株式、いわゆる種類株式の発行が定款変更によっていつでも可能になりました。
そこで、普通株の存在は、上記3つの権利を何ら制約なく行使できる株式を「普通株」と呼び、それ以外の株式との違いを明らにすることにあったようです。株式市場で売買されている株、そして、未上場の中小企業の株の殆どがこの「普通株」です。

(2)種類株式発行の目的
 上場会社にあっては、種類株式発行の目的はファイナンス(資金調達)です。
一方、中小企業にとっては、オーナー社長の相続対策、あるいは、後継者の経営権確保を目的に発行されます。しかし、議決権制限株、拒否権付株といった種類株を発行しなければ経営権がスムーズに移譲できないことの方が問題かもしれません。

(3)種類株式の相続・贈与の評価
 一定の種類株式については、5%相当額の評価減があります。しかし、減額したその5%相当額は、それ以外の株式(普通株を含む)の評価額に加算して評価しますので、株式全体の評価額は変わりません。なお、拒否権付株式(黄金株)は、普通株式とその評価に差異はありません。

社会保険料の掛かる仕組みを知って節約

2009 年 9 月 16 日 水曜日

■社会保険料の負担を安くしたい
 このところの景気後退で、給料は昇給無かあっても少なめ、残業代も減り、働く人の給与額は一般的には増えていない、むしろ減っているという人も多いでしょう。一方で企業は社会保険料の面でも負担を軽くしたいところかもしれません。社会保険料は大きな意味では働く人の生活を守る役割を果たしていますが、企業にとってもその負担をできるだけ軽減するのは必要な課題でありましょう。ですから、次のような対策も一考の余地あるものと思います。その方法をさぐってみます。

①厚生年金や健康保険料の上限に注目
 厚生年金保険料上限は月額605,000円、健康保険料の上限は月額1,175,000円となっています。賞与にも月額と同率の保険料がかかるので、賞与額が多い場合には、月々の給料に上乗せし、上限を超えた分には保険料がかからないようにすることで、軽減がはかれます。(しかし、このところは、賞与額がそこまで伸びるかが問題ですが。)

②社会保険料の改定月に注目
 社会保険の改定月は4,5,6月の給与で算定基礎届で定時改定され、1年間の保険料が決定されますので、可能ならその月はノー残業デーを設ける等して、残業時間の圧縮をします。もう算定期間はしばらく来ないという時期には随時改定がありますが、降給を伴う場合は、社員との話し合いが必要となるでしょう。

③固定給を減らし変動給を多めに
 営業職等は歩合給や売上連動型の営業手当等、変動給部分の割合が多ければ算定月は少なめに稼ぐという方法も考えられます。但、当月支払うべき賃金を後で払うということは、問題があります。又、給与額全体の中の歩合給の割合が多すぎても働く人の生活の安定が損なわれるようでは、本末転倒かも知れません。
 保険料削減は大切な課題ですが、そのあたりはバランスが大事なところでしょう。

協会けんぽの保険料率は、会社所在地の都道府県ごと

2009 年 9 月 7 日 月曜日
 9月1日より、中小企業のサラリーマンの多くが加入する「全国健康保険協会(協会けんぽ)」の保険料を「都道府県ごとの保険料率」で計算することになりました。
これまでは、全国一律の保険料率(8.2%)で計算していましたが、9月分の保険料(一般の被保険者については10月納付分、任意継続被保険者については9月納付分)から、都道府県ごとに定めれた保険料率(8.18%~8.26%)で計算することになります。
9月分(10月納付分)では厚生年金の保険料率も15.35%から15.704%(会社と従業員が7.852%づつ折半)に引き上げられますので、合わせて間違えないように注意しましょう。

協会けんぽの「都道府県ごとの保険料率」ですが、正確には「協会けんぽ都道府県支部ごとの保険料率」で、基本的に会社の所在地(健康保険適用事業所の届出を行っている場所)の属する「協会けんぽ都道府県支部」によって保険料率が決まります。まだ勘違いしている方が多いようですが、被保険者のの住所(居住地)ごとに保険料率が変わるわけではありませんので注意してください。

また、事業所が別々の都道府県にある場合の取り扱いですが、本社が一括で「協会けんぽ」に申請している場合は、本社が申請している「協会けんぽ都道府県支部の保険料率」となります。たとえば本社が東京で事業所が千葉と埼玉にあるケースで、本社が一括で「協会けんぽ東京支部」に申請をしている場合は、千葉と埼玉の事業所に勤めている従業員も「協会けんぽ東京支部の保険料率8.18%」になります。
一方、事業所ごとに申請しているケースでは、事業所ごとに保険料率が異なる場合もあります。

なお、協会けんぽの健康保険証には「保険者名称」欄に「全国健康保険協会○○支部」と記載されていますが、その○○に入る都道府県名が適用されている「協会けんぽ都道府県支部ごとの保険料率」を表すことになります。

厚生年金加入期間が足りない時は

2009 年 9 月 1 日 火曜日
昔務めていたころ、厚生年金に加入したものの、年金の受給資格を得るには加入期間が短く、また国民年金にも未加入や未納であった等という方は、65歳になっても年金の受給権が発生しない事があります。受給資格を得る方法はないのでしょうか?

■高齢任意加入被保険者となる
 厚生年金保険の適用事業所に勤めている人は、原則として70歳に達した日に被保険者の資格を失います。但し70歳に達しても老齢給付の受給期間を満たしていない人は、受給資格を満たすまで、任意加入する事ができます。
 高齢任意加入は社会保険事務所に資格取得の届出が受理された日に取得となり、老齢基礎年金等の受給権ができるまで、任意加入を続けることができます。ただし、保険料を滞納し、督促状に指定された日までに納入しない時は資格を失います。
 保険料は事業主負担分を事業所が負担し、給与から徴収するか、本人が本人分と合わせて全額負担するかを話し合いで決め、任意加入時に選択して申込みます。本人が全額負担する時は本人宛に請求書が届きます。

■脱退手当金を受ける。但手続き前に要確認
 厚生年金の加入期間が短く、国民年金にも未加入や未納が長く、年金受給資格がない方は、昔勤めていた時の厚生年金加入期間の分を部分的に一時金で受け取る事も出来ます。
支給要件は
① 昭和16年4月1日以前に生まれ
② 被保険者期間が5年以上
③ 被保険者資格を喪失していること
④ 厚生年金保険の受給資格がないこと
です。
 支給額は被保険者期間中の標準報酬月額の平均額に被保険者期間に応じて決められた支給率を掛けた額が支給されます。
 注意する事は脱退手当金を受けると原則として、その計算のもとになった期間は被保険者でなくなったものとされます。ですから、受給後に過去の他の厚生年金保険の加入期間が思い出され、合算したらもらえたのに等という事のないようよく確認することが大事です。

裁判員制度と企業の対応

2009 年 8 月 18 日 火曜日

■裁判員は何をするの? その実務とは
 国民が刑事裁判に参加する「裁判員制度」が5月21日からスタートしました。
 対象となるのは殺人・強盗致死傷・傷害致死等の重大刑事事件で審理は裁判官3名裁判員6名、予備裁判員3名で構成されます。
 昨年末29万5千人に候補者として通知がされましたが、その中から面接やくじ引きで人員を選びます。選ばれる確率は試算によると1年間で5,500人に1人だといわれます。但、70歳以上の方は辞退できることとなっています。
 審理は起訴された対象事件の「公判前手続き」で争点整理の上、地裁で第一審のみを行い、量刑も決定します。評決は9人の多数決によりますが、たとえ裁判員全員が同判定でも裁判員のみの多数では認められません。拘束される日程は3日から5日というのが普通です。
 裁判員には守秘義務がありますが、その事だけでなく、心理的負担が大きい場合もあるでしょう。万一心理的外傷後ストレス障害で治療が必要となった時には国の労災保険で費用を負担、カウンセリングも行うとしていますが、刑事裁判に無縁であった一般国民がこのような経験でストレスを感じないということのほうが無理とも思えます。心のケアの問題は課題となるでしょう。

■裁判員社員に対する企業の対応
 大手企業では裁判に参加する社員に特別休暇を設けたところが多いのですが、中小企業ではまだ多くが対策はしていないという調査結果が出ています。裁判参加日で休業した日の有給・無給は任意ですが、本人には1万円以下の日当が国から支給される事となっています。裁判員を務める事は労働基準法第7条に定める「公民権の行使」にあたり、休暇を申請されれば認めざるを得ません。単に仕事が忙しいという理由では辞退が認められない以上、休んだから勤務評価を下げる事等は裁判員法に触れることもあり、難しいでしょう。
 昨今の経済情勢を考えると中小企業や自営業者には負担が増える事にはなるのでしょうが一生に一度あたるかどうかと思うと長い目で考えていく事が必要なようです。

通勤費の事業主負担

2009 年 8 月 17 日 月曜日

■居住、移転の基本的人権
 国民の憲法上の権利の一つとして居住地選択の自由があります。そして、自由に選んだ住居からの通勤費については、スジからいえば自己負担すべきものですが、通常は雇い主が全額負担しています。素直に考えると変なことです。
 別に、雇い主に通勤費負担の法的義務があるわけではありません。とはいえ、雇い主の通勤費負担は雇用に伴う単なる任意の給付というよりも、強制的社会慣行とでも言うべきものとなっています。

■雇用主はつらいよ
 だからでしょうか、従業員からは、負担してもらった通勤費について、当然のこととして何の感謝もされません。
 従業員自身が引っ越しをしたり、工場移転をしたり、ということで従業員が遠距離通勤者に変わってしまった場合に、解雇にもできないし、通勤費の増える分を負担しないということにもなかなかできません。雇い主にとっては辛いところです。

■通勤費の本来性格
 労務の提供をするために事業場に赴くことが通勤であり、通勤そのものは労務の提供ではありません。労務の提供をできるようにするための条件整備行為に過ぎないからです。
 その通勤に費用がかかる場合において、その費用を雇い主から補填されているのですから、雇い主の通勤費負担分の性格は、給与所得の必要経費を補填するもの、すなわち給与所得計算上の労務の対価としての収入ではなく、給与所得計算上の必要経費のマイナス項目とするべきものです。

■非課税という奨励規定
 実際日本では給与を得るのに従業員が何か仕事に不可欠な物・道具・その他の代金を負担するということはあまりありません。
 所得税法では通勤手当や仕事における無償貸与物の給付を非課税としています。非課税としているのは、雇い主の従業員通勤費等の負担によって、労務の対価以上に従業員の手元に残る金銭が増えることはないからでしょうが、さらに、非課税とすることにより、働くための条件整備費用は、従業員自身ではなく雇用主負担とすることがよい、との考えを奨励しているともいえます。

太陽光発電への期待

2009 年 8 月 14 日 金曜日
■太陽光発電の状況
 太陽光発電に関して日本の技術は世界トップクラスを誇りますし、導入量も2004年までは世界一でした。しかし、ドイツでは電力会社が太陽光発電でつくった電力を2倍以上の固定価格で買い取ることを義務づける制度を導入、国を挙げて強力にバックアップした結果、05年以降、太陽光発電の導入量で世界首位となりました。

■今年、補助金が復活した
 1月からは、家庭用太陽光発電設備に対して国、自治体から補助金が出ることになりました。国は《7万円/ kW》、自治体では東京都の場合《10万円/ kW、上限は、100万円》、新宿区の場合18万円/ kW、上限80万円》です。
加えて経産省が2010年度に太陽光発電による電力を電気事業者が1kWh当たり約50円という高値で買い取ることを義務付ける仕組みを検討していると発表しています。

■初期費用回収シミュレーション
 標準的な3kW装置を設置したとすると、設備費に200万円以上かかりますが、新宿区でなら補助金で約半分補てんできます。
その上、年間約3000kWの発電とすると光熱費の約6割が節約となり、5年以内に初期費用を回収できる計算になります。

■税制支援も登場
 税制も今年から支援制度を創設しました。太陽光発電装置を設置する居住用家屋についてのリフォーム減税で、3種類あります。

一つ目は、一般の住宅ローン減税で、10年にわたり毎年ローン年末残高の1%が所得税及び住民税から控除されます。

二つ目は、特定の住宅ローン減税で太陽光発電装置の設置費用部分(300万円が限度)とその他の改修工事費用に係る住宅ローン年末残高(最高1千万円)につき、太陽光発電装置部分は2%、その他は1%を5年間にわたり所得税及び住民税から控除されます。

三つ目は、ローン不要減税で、太陽光発電装置の設置費用を含む省エネ改修工事費用(300万円が限度)の10%を所得税から控除できます。

■こんなおまけも
 三つの減税は選択ですが、公的補助金は減税の対象となる改修費用の額から控除することになっていませんので、補助の恩典は加重的です。

ローン不要住宅控除

2009 年 8 月 12 日 水曜日

ローン不要住宅取得控除が今年新たに創設されました。次の4つの場合に限ってですが、ローンを組んだ場合でも、ローン不要の減税制度のほうを選択することは可能です。

■長期優良住宅の新築又は取得の場合
 通常の住宅価格よりも上乗せして必要となる費用(標準的な性能強化費用)が対象となり、控除上限額は100万円です。

■省エネ改修工事をした場合
 自己の居住の用に供する家屋について、窓全部の改修工事、床、天井、壁の断熱工事、太陽光発電装置設置工事などの省エネ改修工事を行った場合に支出する30万円超の費用が対象となり、控除上限額は20万円(太陽光発電装置を含めば30万円)です。

■バリアフリー改修工事をした場合
 65歳以上の者、要介護者、障害者、もしくはこれらに該当する親族と同居している者又は50歳以上の本人が、廊下の拡幅、階段の勾配の緩和、浴室改良、便所改良、手すりの設置、屋内の段差の解消、引き戸への取替え又は床表面の滑り止め化を行う工事で30万円超(補助金等を受ける場合はそれを除く)の工事費用の額が対象となり、控除上限額は20万円です。

■耐震改修工事をした場合
 自己の居住の用に供する家屋について住宅耐震改修工事を行い、この工事について一定の機関や専門家によって住宅耐震改修工事証明書証明書が発行される場合に支出する費用で標準的な工事費用の範囲内のものが対象となります。控除上限額は20万円です。

■小さく生んで大きく育てよ
 これらは政策促進効果の即効性が極めて高そうです。ローン控除が1%づつ10年なのに対してローン不要は住宅取得時に10%の恩恵を受けられるからです。
 しかし、10%を掛ける対象となる取得費用・改修費用にはそれぞれ適合要件と上限額が定められていて、ローン控除と比べ減税額は大きく見劣りします。
制度は小さく生んで大きく育てることが旨とされているようなので、政策税制としての効果という視点からすると、対象が拡がり、限度額も上がり、給付付き税額控除の性格も持つようになり、ローン控除はローン不要控除に置き換わるという近未来の姿が期待されるところです。

個人の住民税の基本

2009 年 8 月 7 日 金曜日
(1)個人の住民税とは?
 個人の住民税は、日本国内に住所を有する個人にかかる税金で、「都道府県民税」と「市区町村民税」の2種類の総称です。
更に、道府県民税と市区町村民税には、所得に対してかかる「所得割」と、定額でかかる「均等割」とがあります。

(2)誰が課税するのか?
 個人の住民税は、毎年1月1日現在の住所地の都道府県と市区町村が課税します。
都道府県民税と市区町村民税は別のものですが、徴収手続き等は、通常市区町村が都道府県分も含めて一括して行います。

(3)税率はいくらか?
 個人の住民税所得割の標準税率は、所得の金額にかかわらず、都道府県民税4%、市区町村民税6%です。
個人の住民税の均等割の標準税率は、都道府県民税が1,000円、市区町村民税が3,000円です。ただし、都道府県・市区町村の条例の定めによって標準税率と異なる税率を適用する地域もあります。

(4)いつ払うのか?
 個人の住民税には、2種類の支払い方法があります。

① 普通徴収
 自営業者などに適用される納付方法です。市区町村から納税者に直接納付書が届きます。1年分の住民税を年4回(6月、8月、10月、1月)に分割して納税者自身が納付します。

② 特別徴収
 給与所得者に適用される納付方法です。給与支払者が従業員の給与から毎月天引きして、翌月10日までに納付します。住民税は、前年の所得に対して確定した1年分の住民税を、6月から翌年の5月までの12カ月に分割して納付する仕組みなので、源泉所得税や社会保険料のように、賞与から控除されることはありません。

平成21年8月の税務

2009 年 8 月 4 日 火曜日

8月10日
●7月分源泉所得税・住民税の特別徴収税額の納付

8月31日
●6月決算法人の確定申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・(法人事業所税)・法人住民税> 
●3月、6月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●法人・個人事業者の1月ごとの期間短縮に係る確定申告<消費税・地方消費税>
●12月決算法人の中間申告<法人税・消費税・地方消費税・法人事業税・法人住民税>(半期分)
●消費税の年税額が400万円超の3月、9月、12月決算法人・個人事業者の3月ごとの中間申告<消費税・地方消費税>
●消費税の年税額が4,800万円超の5月、6月決算法人を除く法人・個人事業者の1月ごとの
中間申告(4月決算法人は2ヶ月分)<消費税・地方消費税>
●個人事業者の当年分の消費税・地方消費税の中間申告


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○個人事業税の納付(第1期分) 
○個人の道府県民税及び市町村民税の納付(第2期分)