コラム
2010 年 8 月 3 日 火曜日
7月6日、生命保険金を遺族が年金として分割で受け取る場合に、相続税と所得税の両方が課されることが所得税法で禁じられた二重課税に当たるかどうかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷は二重課税に当たり、違法との判断を示しました。
これにより、「課税は適法」とした二審・福岡高裁判決を破棄し、所得税の課税処分を取り消し、原告側勝訴とした一審・長崎地裁判決が確定しました。
国側の訴訟資料によりますと、国側はこうした二重課税を、42年間にわたり続けており、徴収済みの所得税の返還請求や税務実務の見直しなど、大きな影響が出るとみられています。
※年金払い生活保障特約付き終身保険
保険をかけられた人が死亡した時に支払われる保険金を、遺族などの受取人が一時金と年金に分けて受け取れる生命保険
年金部分は、10年など一定期間、毎年決まった額を受け取れる仕組みで、残された家族が一度に多額の保険金を受け取って管理するよりも、定期的な収入として受け取ったほうが生活設計しやすいとのニーズから人気が高まっている。
(注意)
上記の記載内容は、平成22年7月7日現在の情報に基づいて記載しております。
今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。
2010 年 5 月 31 日 月曜日
帳簿に記された仕入先が「真実でない」ため、仕入税額控除が認められないとした裁決が国税不服審判所で下されていたことが分かりました。
貨物自動車での運送事業を営むA氏。A氏は業務に使う軽油の仕入先として業者3社の名前を記していましたが、3社は商業登記がなかったり領収書の住所表記の場所が存在しなかったりと実体のない会社だったため税務署は仕入税額控除の適用を認めませんでした。
しかし、A氏は仕入先が架空の会社と疑う余地は全くなかったと主張。仕入税額控除には納税者が帳簿などの記載内容の真実性を調査し、確認する義務まで規定していないとして、国税不服審判所に訴え出ました。
審判所はA氏の訴えに対し、①かつてから不正軽油の問題があることは公私の事実であり、A氏が軽油を購入した業者のうち1つは、不正軽油の製造販売を行っている業者の別名だったこと②領収書、請求書、および同社の社員と称する者の名刺に記載されている所在地がいずれも異なり、領収証と名刺に表示されている会社の種類も異なること③本件各軽油仕入先へ注文する際の電話番号が同一であり、仕入代金を集金していた者が同一人物であったこと――これらのことからかんがみると、それぞれの軽油仕入先の名称が真実のものかどうか社会通念上相当程度疑われる状態にあったとしています。そのうえ、平成17年課税期間には年間の取り引き件数は合わせて93件、額は1億1642万円にも上り、すべてが現金決算なため、請求人が積極的に確認するのが自然であると指摘しました。
また、預り金的な性格を有する消費税は、特に正確な税額の把握が求められており、真実の仕入先の氏名または名称を記載することが要求されているとしているとして、請求人A氏の訴えを棄却しました(平成21年1月28日裁決)。
2010 年 4 月 27 日 火曜日
◇高額医療・高額介護合算療養費制度
同世帯の中で同時期に医療保険や介護保険を支払い、両方を合算した額が一定の基準を超えた場合に自己負担額を軽減する措置が新たに設けられました。
◇支給要件は?
健康保険の被保険者とその被扶養者が平成20年8月~平成21年7月に支払った医療保険・介護保険の自己負担額(高額療養費及び高額介護サービスの支給額は除く)の合計額基準額を超えた場合に支給されます。
①以後、毎年8月~翌年7月までの1年間に支払った医療保険・介護保険の自己負担額が対象
②入院時の食事代、差額ベッド代は対象外
③基準額を501円以上超えた時が対象
◇支給される一例と申込方法
被保険者・被扶養者とも70歳未満で所得が一般の方の場合の例
一年間で一人が医療保険53万円、もう一人が介護保険で44万円を支払った場合、年間負担額の合計は97万円となり、基準額(67万円)を超えた金額30万円が支給されます。
支給申請は介護保険(市区町村)の窓口で申請手続きをして介護保険の自己負担額の証明書の交付を受け、これを添付して協会けんぽや健康保険に申請します。平成20年4月から21年7月までに、現在加入している以外の健保に加入していて、現在の健保に移ってきた方は、以前に加入していた医療保険の窓口への手続きも必要です。
◇基準額 ( )内はH20.4-H21.7の額
70~74歳の方
①高齢受給者証の負担割合が「3割」となっている場合 67万円(89万円)
②①③④以外の場合 56万円(75万円)
③被保険者が市区町村民税非課税の場合 31万円(41万円)
④③のうち、被保険者とその被扶養者全員の所得が一定以下の場合 19万円(25万円)
70歳未満の方
①被保険者の標準報酬月額が53万円以上の場合 126万円(168万円)
②①③以外の場合 67万円(89万円)
③被保険者が市町村民税非課税の場合 34万円(45万円)
2010 年 4 月 27 日 火曜日
「のれん」とは、何ですか?の問いに、それは「超過収益力」であるとよく言われます。しかし、「のれん」には、「負ののれん」もあり、その整合性をどう説明するのか、さらに、無形固定資産である「営業権」との関係をどう峻別するか、難しい論点もあります。ですが、ここでは、この「のれん」がどのような仕組みで計上されるのか、少し整理してみたいと思います。
◇差額概念としての「のれん」
会計基準では、「のれん」とは被買収企業または取得した事業の取得価額が、取得した資産及び引受けた負債の純額を超過する額をいう、と定義しています。
より具体的には、買収価額>被買収企業の時価純資産価額のときに「のれん」が生じるということです。この場合の「のれん」は、買収価額が被買収企業の時価純資産価額を上回っていますので、その意味では、この超過額は超過収益力(被買収企業が持っている確立したブランドなどの無形の価値)と言っても問題ないかと思います。
一方、買収価額<被買収企業の時価純資産価額のときに「負ののれん」が生じます。この「負ののれん」ですが、被買収企業に純資産額に見合った企業価値がないと判断された場合の買収や合併の際に生じるものです。具体的は、事業資産を有効に活用し、投資効率を上げるまでには時間を要する場合などがその例のようです。
◇「のれん」の会計処理
会計基準では、「のれん」の償却は20年以内の投資効果の及ぶ年数で規則的に償却するものとされています。しかし、「負ののれん」に関しては、その生じた事業年度において一括で利益に計上すべきものとされています(貸方のれんですので、利益に計上されます)。
◇法人税法と「のれん」
法人税法においても、原則、この「のれん」の計上の仕組みは、会計基準と同じです。しかし、取扱に関しては、非適格合併などの場合にその計上が認められ、「のれん」は「資産調整勘定」として借方に計上され、一方、「負ののれん」は「差額負債調整勘定」として貸方に計上されます。
償却に関しては、いずれも5年間にわたり月割で償却(減額)し各事業年度の損金又は益金の額に算入されますが、損金経理は不要です。
2010 年 4 月 5 日 月曜日
■扶養控除廃止は見送られたが…
政府の2010年度税制改正大綱が決定され、当初予定されていた、扶養控除の廃止は子ども手当の支給される15歳以下の「年少部分」の廃止のみとなり、配偶者控除廃止も見送られました。夏の参院選を意識しての事か、マイナスの影響を受ける世帯はほとんどなかったものの子ども手当等の財源は赤字国債で賄われる事となりました。
■子ども手当に必要な財源は毎年五兆円
しかし、今後の財源のことを考えると11年度以降に配偶者控除の廃止が見直されないとも限りません。もし配偶者控除が廃止された場合、女性の働き方は大きく変わってくる事が考えられます。
今まで妻がパートタイマー等で年収103万円以下であれば、夫の収入の配偶者控除を受ける事ができ、その分所得税は安くなっていました。社会保険も夫の被扶養者として妻は保険料負担をしていませんでした。毎年年末になると年収を抑えるため、多忙な時期に仕事を休んでしまうパートさんもいて、困ってしまったという企業もあった事でしょう。
■子ども手当はパートの社保加入につながる?
ところが、配偶者控除の廃止が実施されると103万円の壁はなくなり、少しでも長い時間を働きたい人が増えて来る事が予想されます。これは一見、長い時間働いてもらえることが良いように見えるものの、一方ではパートタイマーの社会保険加入が促進されていくかもしれないという事が考えられます。
現在は一般の従業員の4分の3以上の労働日数、労働時間を勤務すると加入対象となり、例えば1週の労働時間が一般の人が40時間の事務所では週30時間以上働く人が対象となります。今まで103万円以内で勤務していた人は、控除の壁がなくなると、より長い勤務時間を希望し、再び社会保険の適用拡大論議が高まるやもしれません。
子ども手当は企業には直接関係のない事のようですが先行きは影響を受けないとは言えないかもしれません。
2010 年 3 月 1 日 月曜日
■離婚し、子は母方に
離婚後、養育費その他の費用を負担している父と、日常の起居を共にしている母とが、それぞれの勤務先に長女を扶養親族とする「扶養控除等申告書」を提出しているような場合、法律は、どちらか一方の扶養親族として調整することを要求しています。
■調整不能時の判定
では、その調整ができない場合にはどういうことになるのでしょうか。判断基準を考えるとしたら次のどれになるでしょうか。
①現実に長女と日常の起居を共にし、より多くの養育費を負担している者を優先すべきである
②納税者有利の原則から所得の大きいほうの扶養親族にすべきである
③長女を扶養親族とする「給与所得者の扶養控除等申告書」を先に勤務先に提出したほうを優先すべきである
■あなたの見解は?
なんとなく、①が最も正論、②は現実論とは言えるもののスジ論としては弱そう、③は意外な回答サンプルを提示するための異端な屁理屈、と思えそうです。
実際、この問題で係争となった事案があり、国税不服審判所の裁決が出ています。
■審判所の見解は!!
①は母親の見解で、母親は税務署から長女を扶養親族とすることを否認され、増額更正処分を受けました。②は税務署の見解で父親側に味方しました。③は審判所の判断で、一転して母親に軍配をあげました。
審判所の裁決は、母親の見解も税務署の見解も否定し、第3の見解としての③を判断根拠としました。③をもって法律の正しい解釈とするのは意外に思えますが、法令をよく読むと、確かに③とするのが正解になっています。
■法令の内容は次の通り
法令には、①の見解の根拠になる規定はなく、規定があるのは②と③についてで、まず、勤務先に提出する扶養控除等申告書の提出の時間的先後をもって決着させるものとして③があり、それが決せられない場合は所得の大きい者の扶養親族とするとの②があります。
審判所は、各勤務先に扶養控除等申告書の提出された日を問い合わせて、母親の提出日が早いことを確認して、母親の申告を優先採用するものとしました。書類は速やかに提出しておいたほうが有利なのです。
2010 年 2 月 1 日 月曜日
引当金とは
「将来の特定の費用又は損失で、その発生が当期以前の事象に起因し、発生する可能性が高く、かつ、その金額が合理的に見積もることができる場合には、当期の費用又は損失として、引き当てなければならない」と中小企業の会計指針では言っております。
主旨としては、正しい期間損益の把握と、将来のリスクの回避の為です。
■代表的な例は
1. 退職給与引当金
退職金規定に従って合理的な金額を見積計上します。
2. 賞与引当金
賞与対象期間が当期に属し、支払が翌期になるような場合に引き当てます。
3. 貸倒引当金
将来の貸倒れに備えて引き当てます。
4. 製品保証引当金
製品の保証をしているメーカー等が、今期の製品の売上に対して、翌期以降に保証に要する費用や損失を見積もって計上します。
5. 返品調整引当金
保証と返品の違いで、製品保証と同様の考えです。
■法人税法上は
会計上は、将来のリスクに対し様々な引当を要求されますが、税務上は「貸倒引当金」と「返品調整引当金」の2つしか損金算入は認めておりません。
税務上は原則、債務の確定していないものを損金としては認めません。上記2つの引当金も特別に認めているだけですので、従来認めていた「賞与引当金」や「退職給与引当金」のように、いつ認めないと言ってもおかしくありません。
■実務上は
会計指針に従い将来のリスクに備え引当金は計上し、税務上は自己否認すると言うのが理想ですが、多くの中小零細企業は税務基準で引き当てているのが現状です。
2010 年 2 月 1 日 月曜日
■社会保険・給与計算時、到達年齢による確認事項■
社会保険・労働保険には、年齢により新たに保険料を控除したり、控除しなくなったりという、節目の年齢があります。これを覚えておくと、給与計算時に漏れることなく処理することができます。確認してみましょう。
■満40歳 健康保険の介護保険料の控除を始める年齢です。通常誕生月の翌月の給与より控除を開始します。
■満60歳 最近は定年の延長をする会社が増えてきましたが、一般的には満60歳を定年とし、退職か再雇用をする企業が多いと思います。再雇用の場合は定年前に給与額や勤務日数、仕事の内容等について話し合われる必要があるでしょう。働きながら年金を受給したい場合は、給与額により在職老齢年金が支給となります。
■満64歳 その年の4月1日現在に満64歳に到達していた方は、その4月より本人、会社とも雇用保険料負担がなくなり、控除の必要がなくなります。又、失業給付は65歳以降に退職した場合は「高年齢求職者給付金」として一時金支給となりますが、64歳のうちに退職した時に受ける基本手当の6割程度となってしまいます。
■満65歳 65歳以降も社会保険に加入していた場合は、給与額に関係なく厚生年金の定額部分は全額支給されるようになります。報酬比例部分の在職老齢年金の上限も上がり支給額も上がります。介護保険料は年金からの控除となるので会社での控除は終了します。
■満70歳 70歳以降も社会保険に加入していた場合でも、65歳以降と同じく在職老齢年金の制度は継続されます。但、厚生年金保険料の給与からの控除は終了します。なお、「厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎・月額変更・賞与支払届」を必要な時期に提出しなければなりません。
2010 年 1 月 8 日 金曜日
(その1より続く)
また、発想や行動が硬直化していて新しいことにチャレンジできないことも多い。カマス理論で中途採用者を積極的に活用したり、外部とアライアンスをするなどして、組織を活性化する必要があります。
次に、管理会計の導入です。ホンダは得意分野に経営資源を投入するとともに、経費削減を実行し効果をあげていますが、これを実現するためには管理会計を導入し、自社にとって投資すべき分野はどこで、節約すべき分野はどこかを常に把握しておく必要があります。投資すべき分野には戦略経費として予算を割り付け、節約すべき分野は節約可能費として徹底的に効率化するなどメリハリをつけたマネジメントを行うのです。
景気も厳しく、多くの企業は赤字です。しかし、このような状況でも増益を実現するホンダのような企業もあります。商品開発プロセスの見直し、新たな人材やアライアンスなどによる組織活性化、管理会計による経営資源の効率的なマネジメントなど参考になる施策もあると思われます。自社の経営にどのように取り入れるかを研究し、収益回復を実現していただきたい。
※カマス理論:カマスは水槽に小魚と一緒に入れると通常小魚に襲いかかるが、透明なガラス板で両者を間仕切り、何度襲ってもガラスに阻まれる経験をさせると、その後ガラスを外しても小魚を襲わなくなる。しかし、新たに別のカマスを入れると新しいカマスは当然小魚に襲いかかり、それを見た最初のカマスも目覚めたように再び小魚に襲いかかるという話。(了)
2010 年 1 月 8 日 金曜日
ホンダの業績が急回復しています。
2010年3月期の連結純利益予想が、従来発表の550億円から前期比13%増の1,550億円となる見通しです。増益要因は、主として二つのようです。一つは、新興国への販売が増加したこと、もう一つは、効率的に経営したことです。
新興国への販売増加は、二輪車で培ったブランド力を武器に拡販できたことが大きく、新興国向け販売比率を増加させています。効率経営は、小型車から大型車までのフルラインナップではなく、フィットを中心とする小型車に経営資源を集中していることがポイントです。これにより設備投資を抑制することができ投資効率が高いようです。これらの効果から、他の自動車メーカーと比べて収益改善のピッチが早まっています。では、中堅中小企業にとって、ホンダに学ぶべきことはどんなことでしょうか?
まずは、強い商品を育成することです。ホンダは、エコ意識の高まりというニーズをとらえて燃費のよい小型車のフィットやハイブリッド車のインサイトなどの商品を提供しています。また、海外では二輪車という強い商品でブランド力を築いています。フィットやインサイトのようなニーズに合致しかつ競合他社よりも優れた商品を持っていないと抜本的な収益改善は難しい。特にメーカーの場合は強い商品(技術)を持つことが重要です。
中堅企業の中には社歴も長く、過去には一世を風靡した商品で高収益を誇ったが、その商品が競争力を失うに連れて営業赤字に転落している企業があります。このような企業は、商品開発プロセスが型どおりで機能しておらず、市場の声や潜在ニーズを商品開発に反映できていないことも多い。(つづく)